いとも簡単に振れてしまう判断....
☆☆☆
Swayとは人間の意識の中に潜み合理的な行動を妨げる隠れた力のことで、一部を紹介すると本書では以下のような概念を興味深い例示で説明している。
Loss aversion(損失に対して過剰反応をし、これを回避する為に合理的には想定できないようなことをしでかす)
・ KLMの安全責任者であった機長が時間の遅れを取り戻そうと飛行機の離陸時のルール無視して引き起こした狂気の沙汰とも言える大惨事
・ 損失を確定せずに、いつか相場が反転すると期待して損切りできない投資家の心理
・ 20ドル紙幣のオークションに204ドル迄値が競り上がってしまう不思議
Value attribution(客観的なデータにも基かず直感をベースに物事を判断する)
・ 世界的なバイオリン奏者が地下鉄のホームでジーンズに野球帽といった格好でで演奏をしていても、誰も気に留めずに通り過ぎてしまう(奏者の身なり服装から有名な音楽家だとは誰も思わない→演奏している音楽のクオリティや技術も大したことないと判断してしまう)
・ 値段を上げたら急に商品が売れ出した(ものの価格を見て「高い=高級品に違いない」と判断する)
・ 同じコンサートでも高い金を払って入場した人の方が満足度が高い
Diagnosis bias (人、モノ、考え等に対して最初に下した判断に囚われ、後に、この先入観に反する客観的な情報が提供されても、従前の判断を変えることができない)
・ NBAバスケットボール選手の試合出場時間は当該選手がドラフト何位で指名されたかとの相関が圧倒的に強い(ドラフト順位が高ければ良い選手のはずという先入観が後々まで影響する)
・ 初めて会う人の性格等につき事前に知らされたイメージ(それが事実であろうが無かろうが)を払拭することができない
…..等々、興味深い例をもとに人間の判断がいかに非合理的な方向に振れるかを説明している。”Influence” (Robert Cialdini著)や”Predictably Irrational”(Dan Ariely著)と内容的に共通する部分が多い。
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