"Being right early is called being wrong"
☆☆☆
投資銀行とヘッジファンド数社での経験を通じて、新たに独自のマクロ視点での投資調査会社Research Edge(現在はHedgeyeに社名変更)を立ち上げた著者が、カナダのオンタリオ州に生まれアイスホッケーに明け暮れた自らの生い立ちからヘッジファンドでの日々、そして最後に2007年秋に解雇となった経緯をその世界に身を置いた者として内側から語ったもの。投資銀行及びヘッジファンド内での group thinkがバブル末期を煽っていった状況や、特にヘッジファンドでの最後の数ヶ月は、著者自らの投資に対する見方・判断からマーケットのクラッシュは近いと主張したことに対する、周囲の強気筋からの変人扱いや蔑み、そして、予測のタイミングが若干早過ぎたこともあり、短期的にはトレーディングのパフォーマンスが出ずに解雇に繋がった経緯、そして、その後も独自の視点や判断をベースに情報を発信し続け、やがて投資調査会社の立ち上げ、マーケット暴落を予測する様子を描いている。また、そうした経験を通じて、他人とは異なる独自の視点を持つことが如何に大切かを語っている。
10年程前にアメリカの投資関連か何かのTVコマーシャで、テニス・プレーヤーが相手のサーブが打ち込まれてから数秒後に(既にボールは自分の横を過ぎ去った暫く後に)、完璧に美しいフォームで相手のサーブを打ち返すようにラケットを振るシーンが映し出され、そこにTiming is everythingというナレーションが入るというものがあった。アメリカが住宅バブルの状況にあることは、1980年代後半の不動産バブルを経験した日本人の眼には2000年代の前半には明らかであったと思うし、それが「いつか」崩壊するであろうことも見通していたと思うが、「いつかそのうち」ではなく「具体的にいつ」かが当たらないとカネにはならない。即ちTiming is everythingであり本書にもあるBeing right early is called being wrongということである。
book reviews, etc. Note that reviews prior to April, 2010 are mostly the same as those found at Amazon.co.jp or Amazon.com
Friday, March 26, 2010
Sunday, March 21, 2010
[Book Review] 「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト (光文社新書)
☆☆☆
全般的には、なかなか為になる本であるが、一点気になったのが、本書の冒頭部分(pp.31-32)で著者はDruckerを引き合いに出しながらも、「利益を出すことが事業の目的ではなく条件である」ということが、「社会貢献」にどうやって結びついているのかを、必ずしも上手く説明していない。
「利益を出すことは目的ではなく事業存続の為の必要条件である」というのは資本主義の論理的帰結であると思う。事業成功の尺度(return)をP/L上の利益で捉えようがcashflowsで捉えようが(長期的には両者のレベルは収斂する)、returnが出ていないということは、投資に対して見返りが無いということであり、(道路や通信インフラといった公共財等の場合を除けば)そのような投資は社会全体で見れば資源の無駄使い(社会に貢献していない)ということになる。そしてreturnの出ていない事業への投資はreturnが出ている投資に再配分されるべきなはず。そういう意味で儲かっていない事業には存在意義はないのである。とても明々白々なことだと思うが....。
Peter Druckerも著書“Management”の”6. What Is a Business?”という章で以下のように述べている。
Profit and profitability are, however, crucial – for society even more than for the individual business. Yet profitability is not the purpose of but a limiting factor on business enterprise and business activity. Profit is not the explanation, cause, or rationale on business behavior and business decisions, but the test of their validity. …….….Actually, a company can make a social contribution only if it is highly profitable…..
Subscribe to:
Posts (Atom)