Sunday, March 21, 2010

[Book Review] 「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト (光文社新書)




☆☆☆
全般的には、なかなか為になる本であるが、一点気になったのが、本書の冒頭部分(pp.31-32)で著者はDruckerを引き合いに出しながらも、「利益を出すことが事業の目的ではなく条件である」ということが、「社会貢献」にどうやって結びついているのかを、必ずしも上手く説明していない。
「利益を出すことは目的ではなく事業存続の為の必要条件である」というのは資本主義の論理的帰結であると思う。事業成功の尺度(return)をP/L上の利益で捉えようがcashflowsで捉えようが(長期的には両者のレベルは収斂する)、returnが出ていないということは、投資に対して見返りが無いということであり、(道路や通信インフラといった公共財等の場合を除けば)そのような投資は社会全体で見れば資源の無駄使い(社会に貢献していない)ということになる。そしてreturnの出ていない事業への投資はreturnが出ている投資に再配分されるべきなはず。そういう意味で儲かっていない事業には存在意義はないのである。とても明々白々なことだと思うが....。

Peter Druckerも著書“Management”の”6. What Is a Business?”という章で以下のように述べている。
Profit and profitability are, however, crucial – for society even more than for the individual business. Yet profitability is not the purpose of but a limiting factor on business enterprise and business activity. Profit is not the explanation, cause, or rationale on business behavior and business decisions, but the test of their validity. …….….Actually, a company can make a social contribution only if it is highly profitable…..

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