"Being right early is called being wrong"
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投資銀行とヘッジファンド数社での経験を通じて、新たに独自のマクロ視点での投資調査会社Research Edge(現在はHedgeyeに社名変更)を立ち上げた著者が、カナダのオンタリオ州に生まれアイスホッケーに明け暮れた自らの生い立ちからヘッジファンドでの日々、そして最後に2007年秋に解雇となった経緯をその世界に身を置いた者として内側から語ったもの。投資銀行及びヘッジファンド内での group thinkがバブル末期を煽っていった状況や、特にヘッジファンドでの最後の数ヶ月は、著者自らの投資に対する見方・判断からマーケットのクラッシュは近いと主張したことに対する、周囲の強気筋からの変人扱いや蔑み、そして、予測のタイミングが若干早過ぎたこともあり、短期的にはトレーディングのパフォーマンスが出ずに解雇に繋がった経緯、そして、その後も独自の視点や判断をベースに情報を発信し続け、やがて投資調査会社の立ち上げ、マーケット暴落を予測する様子を描いている。また、そうした経験を通じて、他人とは異なる独自の視点を持つことが如何に大切かを語っている。
10年程前にアメリカの投資関連か何かのTVコマーシャで、テニス・プレーヤーが相手のサーブが打ち込まれてから数秒後に(既にボールは自分の横を過ぎ去った暫く後に)、完璧に美しいフォームで相手のサーブを打ち返すようにラケットを振るシーンが映し出され、そこにTiming is everythingというナレーションが入るというものがあった。アメリカが住宅バブルの状況にあることは、1980年代後半の不動産バブルを経験した日本人の眼には2000年代の前半には明らかであったと思うし、それが「いつか」崩壊するであろうことも見通していたと思うが、「いつかそのうち」ではなく「具体的にいつ」かが当たらないとカネにはならない。即ちTiming is everythingであり本書にもあるBeing right early is called being wrongということである。
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