才能ではなく“deliberate practice”が世界の超一流をつくる
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本書のテーマは、題名の通り、スポーツ、音楽、ビジネス、学問(例えばノーベル賞受賞者)等の領域を問わず、世界の超一流とそれ以外の人々の違いは一体何から生じるのか?というもの。それで、差異を生じさせるものは生来の才能といったものではなく(だから題名が”Talent is overrated[才能は過大評価されている]”となっている)、”deliberate practice”(意図的・計画的な練習)によるところが大きいと論じている。”deliberate practice”とは、特定の分野で自分が上手く出来ない部分に焦点を当てて、それを繰り返し何度も練習し、且つ練習の出来具合に関してタイムリーにフィードバックが得られるような環境で行われる(通常はかなりの苦痛を伴う)高レベルのものを指す。
因みに、本書よりも1ヶ月程後に出版されたMalcolm Gladwellの“Outliers: The Story of Success” (邦訳「天才! 成功する人々の法則」)で”The 10,000-hour rule” (1万時間ルール)というものが物事を極める迄に費やさなければいけない時間の目安として紹介されているが、本書では、その辺りも詳述されている。
では、とてつもなく多くの時間をdeliberate practiceに費す原動力乃至は情熱というものは、生来の素質なのか?それとも徐々に当事者個々人の中でdevelopされていくものなのか?といえば、これまた後者であるとのこと。但し、超一流の人達も、最初は親の意向で嫌々始めたのが、他人からの賞賛、家族やコーチの支援、同じ分野での超一流の人との出会いによる触発、等々種々の出来事を通じて、いつしか自らの内側からの強烈なモチベーションが醸成されていくようなケースが多いらしい。これらの種々の様々な要因が重なり合っていく効果をMultiplier effect (経済学では「乗数効果」のことだが)と称している。
また、こうした超一流になっていく環境を、例えばビジネスの世界では、どのように組織制度のデザイン面で参考にしていくべきか、といった点にも言及している。
自らのキャリア開発及び組織での人材開発の観点で参考になる。
p.s.余談であるが島田紳助著の「自己プロヂュース力」などを読むと、かつての紳助・竜介の漫才などは、まさにdeliberate practiceの賜物であることがわかる。
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