Saturday, August 7, 2004

[Book Review] Accounting Theory: Conceptual Issues in a Political and Economic Environment

アメリカ会計学の強さを実感できるテキスト

以前Amazonで下記の書評を書いたのは↓コレであるが、


最近では、こちらのテキストに進化したようだ。


☆☆☆☆☆
(以下8/7/2004時点でのレビューコメントです)
私が、その昔ビジネススクールで1997年に履修したAccounting Theoryのクラスで使用したテキスト(当時は4th editionでした)のひとつです。会計理論のクラスというのは数字などは殆ど使わなず、トピック毎のプレゼンテーションとディシカッションが延々と繰り広げられるという授業形式でした。

私は日本の会計は余りかじっていないので、私の会計を見る眼には元来「米国びいき」のバイアスがかかっているかもしれませんが、それを承知で言えば、こういう本を読むと、本当に米国会計の基礎の厚みが良く分かりますし、逆に日本の会計にはバックボーンとしての会計のconceptual frameworkが恐ろしいほど欠落していると感じざるを得ません。日本では会計理論自体が薄っぺらである(或いはそもそも存在しない)ことと関連し、会計とファイナンス理論・経済学を関連づけて勉強するような機会が無いせいでしょうか、一般論として、日本で会計を学んだ人は所謂簿記論のようなテクニカルな面に長けている人は多い反面、そのベースとなっている理論的な基礎の理解が脆弱であるように感じます。

例えば、会計の世界でここ数十年のP/L重視からB/S重視(asset-liability approach)への大きなうねり、時価会計、ファイナンス理論での企業評価、包括利益の概念、等々といったものは個々に存在するのではなくて、ベースのところで理論としては一本筋が通った形で密接に関連しあっているということ、そしてそのコンセプトにはファイナンスや経済学が大きな影響を与えているということは、本書のような米国会計理論のテキストを読めば非常に良く分かります。私の会計観に大きな影響を与えた1冊です。