Monday, February 11, 2008

[Book Review] What Were They Thinking?: Unconventional Wisdom About Management

マネジメントの種々の方法論を「常識に対する斬新な眼力」で検証



☆☆☆☆
前著と趣の似た内容であり、マネジメントに関する種々の方法論や考え方を、主に人間の感情や行動原理の観点から考察することによって、それぞれが本当に有効な方法論なのか否かを検証している。
例えば、経営不振に陥った際にリストラ、給与・ベネフィットのカットといった施策を実行することは、経営陣に対する不信感を強め従業員の貢献意欲を減じさせるだけで効果は出ない、といったことに始まり、就業時間内に私用をおこなっている社員を監視しても殆ど意味はない、確定拠出型ベネフィットの経済合理性は疑問、組合が持つ経営面でのプラスの効果、等々が論じられている。これらの議論のベースにあるのは、社員とマネジメント間の信頼関係(或いは norm of reciprocity互恵性/返報性の規範)を損なうような施策が有効に機能することはない、という社員を中心に据えた考え方である。
著者が明確に言及している訳ではないが、この延長線上には、社員個々人が主体的に取り組み集合知を発揮するコミュニティに似た組織というのが理想的な組織として想定されるであろうし、また、そういう組織こそが、社員から継続的に最大限の力を引き出せる組織であり、更に顧客志向という観点で言えば「ES (employee satisfaction)なくしてCS (customer satisfaction)なし」といった考え方にも通じるのだと感じた。このように捉えるとWeb 2.0や ”The Wisdom of Crowds” (James Surowiecki著), “The Future of Management” (Gary Hamel著)等で述べられているテクノロジー・社会・マネジメントの進化の底流にあるものを多少なりとも関連付けて見えるように思う。

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